【todoro】ニュースレター No.20 魚の話
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こんにちは('-')/
todoroの平岡です。
いよいよ12月に入りました。
毎年思いますが、この時期になるとカレンダーのことが信じられない気持ちになりますね。笑
冬は寒いのが難儀しますが、美味しい魚が多くなってくるので魚好きとしては嬉しい限りです。食べるのが好きなのでニュースレターも食べ物の話題が多くなってしまいます。
そんな今月は魚の話。
魚嫌いの方はご容赦を。雑学として楽しんでいただけると嬉しいです。
たくさんの本を乱読するのでどの本に何が書いてあったのか定かでないのですが、今回の話で思い出した、とても面白かった本を最後にまとめて記載しておきます。
さて、魚というのは日本という国と切っても切れない関係にあります。寿司というよりもSUSHIが世界的に有名な食べ物になっていることは言うまでもありませんが、同様に刺身も国外でも一般的に食べられるようになっています。刺身の前には膾(なます)という存在があったと言われます。
「羹(あつもの)に懲りて膾を吹く」(あつい食べ物で火傷をした経験から膾のような冷たいものをフーフー冷まして食べるような過ぎた用心のこと)なんていう諺もあります。膾というのは細く切った魚や野菜を酢で和えた料理で、とても古い歴史があります。冷蔵技術や物流インフラが整備される前は、生の魚を食べる際は酢で締めたり和えたりするのが一般的でした。
肉食が進む前の時代の日本では魚が重要な動物性たんぱく源でした。たんぱく質というのは分解されてアミノ酸になることから、栄養として重要なだけでなく、極めて強い旨味をもちます。イノシン酸を含む鰹節や、グルタミン酸を含む昆布などは、どちらも海で取れるものであり、ともに出汁としても活用され、掛け合わせるとさらに旨味の相乗効果が起こります。旨味という概念も相当する英語が存在しないため、今やUMAMIも英語になっていますね。
諸説あるようですが言葉の歴史を繙きます。
魚というのは古来より「酒菜」と書きました。今でも惣菜という言葉がありますが、菜というのはおかずのことです。つまり魚と酒の相性が良いということは、それほどまでに古来から確立された概念であったといえます。現代においても酒や魚が奉納品として納められたり、祝い品や客人のおもてなしとして一般的に登場することからも、その感性が脈々と受け継がれていることがわかります。
科学的に見ても、ビタミンB群はアルコールにより消費が活性化されてしまうことから、アルコールを摂取する際には魚や豚肉などに多く含まれるビタミンBを取ることが良いとされていますね。
さらに、まな板という言葉も古来より「真菜板」と書き、真菜とは魚を示すと言われます。つまり最上のおかずが魚であることを示しています。
「海なし県」と言われる都道府県もありますが、全域にわたって海と接する細長い日本列島が、いかに古来より海と深く関わってきたのかがよくわかる事例です。
また、「日本人は農耕民族である」という表現がなされることがありますが、書籍によってはそれを否定します。理由として、日本各地で魚介類の採取が極めて一般的に行われていたことから、いわば「海の狩猟民族」だったのではないか、という考えからです。
離島などの古民家を解体する際に、ふすまの裏に貼られた反故紙などから、地方の沿岸部で船を有する百姓が大名相手に財を成していたとする記録も出てきているようです。多くの人が近海に出て国内各地で貿易や漁を行っていたという証拠であり、自分が学生の頃に学んだ歴史とは違った側面が明らかになってきていると感じます。
なお、ここからは私見になりますが、焼き魚や煮魚の細かな骨を箸で選り分けながら食べ進める作業は、数秒後に訪れる幸せを想像しながらも面倒な作業に辛抱強く向き合う忍耐や、手先の器用さを鍛え、脳の活性化を促進してきたのではないでしょうか。脳に良いといわれるDHAが青魚に特によく含まれることと、大量に魚を消費してきた歴史と相まって、「手先が器用」と言われる日本人像を形成するのに少なからず寄与したのではないかと考えています。
もうじき年末年始がやってきますが、お祝いの席の海産物を色んな視点で楽しんでみるのはいかがでしょうか。
少し気が早いですが、どうぞよい年をお迎えください。
参考書籍は下記の通りです。
・日本の歴史をよみなおす(網野善彦 ちくま学芸文庫)
・土を喰う日々(水上勉 新潮文庫)
・成功する人は缶コーヒーを飲まない(姫野友美 講談社+α新書)
またニュースレターでお会いしましょう('-' )\m/